【ニッポンの音楽 Vol.3】 流派と楽器について~前編~

お久しぶりです!
箏曲演奏家の藤重奈那子です!

さて、前回は”箏曲”についてお話しさせて頂きました。

今回は、その箏曲の流派と楽器自体についてご紹介していきたいと思いますが、前編に『流派』、後編に『楽器』としてお話します!

流派について

箏には大きく分けると2つの流派が存在しています。

ここでいう”流派”とは先生が異なるという話ではなく、同じ箏曲でも演奏スタイル、演奏する楽曲が異なることを指します(同じ名前の楽曲もありますが、奏法などが少し異なります)。

2つの流派の違いを簡単にまとめみました

主な特徴山田流生田流
使用する箏爪(ことづめ)先端が中央にある丸爪四角に角がある角爪
楽器に対しての座り方箏に対して正面を向いて弾く箏に対して斜め左角度に膝身体を向け、
上半身だけ捻って正面を向く
発展した主な地域関東
※現在は全国で演奏される
関西
※現在は全国で演奏される
曲の傾向・歌のある曲が多い。(叙事的・劇的な歌曲)
・江戸の芸能と関係している。
・箏と合奏する三味線の種類が豊富である。
※太棹や中棹といった、棹の太さが違うもの、また撥や駒なども異なる三味線を扱う。
・歌のある曲と器楽部だけの曲がある。
※現代曲などは山田流でも演奏されるが、生田流で演奏されることの方が多い。
・京都の芸能と関係している。
・地歌三味線と合奏する。
💡お正月に有名な『春の海』は、生田流の宮城道雄によって作曲されています。
下記、参考写真があります

使用する箏爪(ことづめ)

楽器を演奏する時に右手の親指・人差し指・中指の3本に
これらの箏爪(ことづめ)を付けます。

②座り方

山田流

生田流


少しだけ、使用楽器についても触れたいと思います。

現在は、一部を除いて2つの流派ともに、江戸時代に八橋検校によって開発された山田流式になっています。生田流式は楽箏(がくそうー雅楽の箏)として形を残しています。

山田流式の箏

京都のお土産で有名な”八ツ橋”は、八橋検校の功績を称えて、箏をイメージして形作られてます。

次回は後編。

箏曲の『楽器』についてお届けいたします!