【Meet The Orchestra】G音楽たい×東京佼成ウインドオーケストラ in Tokyo ~宮崎の五ヶ瀬町で生まれた楽団が、東京のプロ奏者たちと共演するまで~

今回は“G音楽たい結成 10周年記念巡回公演”に密着取材しました!
G音楽たいとはどんな楽団なのか?東京佼成ウインドオーケストラとの繋がりは?
G音楽たい結成~現在までの軌跡と今回の演奏会について、お話を伺いました。

左から 
指揮者:今西正和さん G音楽たい代表:林怜史さん 
東京佼成ウインドオーケストラオーボエ奏者(コンサートマスター):宮村和弘さん

ーーそもそもG音楽たいとは?

林さん:なぜこの名前なのかという話なのですが、私がこの楽団を立ち上げたのは宮崎県五ヶ瀬町という片田舎なんですね。そこへ初めて仕事で行った時に、地域に吹奏楽団がなかったんです。だからそこで自分が音楽をやりたかったていうのと、地域興しの一環で楽団を立ち上げました。その当時は役場に勤めており、その職員何人かに声をかけてつくったのがキッカケです。当団ロゴのGは”五ヶ瀬町の音楽隊”という事で、Gを取って名付けました。音楽たいの隊が平仮名なのは、九州の方言の「~たい」からG音楽たいとなりました。いまとなっては、私自身大阪に住んでいますし、宮崎以外にも関西にメンバーがいるため、多種多様なグローバルのGという意味も持たせています。コロナ禍になる前は年間で大体30件ほど地域のイベントや演奏会を行っており、大阪に移ってからはG音楽たいとは別にNPO法人も立ち上げて、熊本地震の時には震災復興の活動をしていました。その中で、音楽活動の方も一緒に色々とやるようになって九州は全域、大阪でも演奏活動を行いました。

そして昨年10周年を迎えて、本当であれば今年1月にG音楽たい結成10周年記念公演を宮崎で行う予定でしたが、県独自の緊急事態宣言が発令され、中止になってしまったんです。ですが、どうしても東京佼成ウインドオーケストラさん(以下佼成)と一緒にやりたい、という想いがありました。G音楽たいが東京へ行けば、佼成さんも来やすいということで、東京でホールを探しました。

G音楽たい代表:林さん

ーー佼成との親交はいつから?

林さん:初めてご一緒したのは、熊本地震が起きた後、復興支援コンサートをやりたいと私が言った時に、「メインゲストを誰か呼びたい」と。その時、熊本で一緒に活動していたとある人に声を掛けました。そうしたら、その方が「佼成のコンマス田中靖人さん なら紹介できますよ」と。なぜその方がその人脈を持っていたかというと、娘さんが佼成のコンマス田中靖人さんの門下生という経緯があったんです。これもまた凄いご縁だなぁと感じましたね。それから宮崎でコンサートをしたり、熊本で復興支援コンサートをする時には佼成のメンバーさんを少しずつご紹介いただいて、少しずつ広げていった、という感じですね。宮崎に来る前までは消防局に勤めていて、消防音楽隊の隊員でした。

ーー様々な地域で精力的に音楽活動を行う源は?

林さん:私が考える音楽というのは、“アマチュアにしかできない音楽”があるんじゃないかと思っているんです。プロは芸術性を高めていく、プロならではの音楽でまた別の感覚だと思うんですよ。G音楽たいの初期メンバーは、楽譜も読めない方もいたし初心者からのスタートでした。そこで考えたのは、隙間産業でやっていこう、ということでした。“プロにはなれないから、いかに楽しい音楽、お客さんや他の一般団体からも「こんなこと出来るんだ」っていうところをやりたいな”と思っているのが様々な音楽活動に繋がっているんだと思います。

ーー指揮者の今西さんとG音楽たいとの繋がりは?

今西さん:ちょうど1年前くらいに、ある方から林さんをご紹介いただいて、そこからです。

林さん:コロナ禍になり、無観客コンサートをやろうとなった時に指揮者の先生を探していて、メンバーのひとりから今西さんをご紹介いただいたんです。昨年11月のコンサートでも佼成からゲストをお呼びする事が決まっていたので、その時も今西さんに指揮をお願いしました。そこから12月、2月、3月と指揮をやっていただいてきました。

指揮者 今西さん

ーー他の団体とは違う、‟G音楽たいらしさ”というものは何かありましたか?

今西さん:その都度どこかにプロが入っている、そこから刺激や影響を受けながら一緒に音楽を作っているなって感じます。プロの方が練習に来られるのは少ないけれど、それにアマチュアの人たちもうまく対応しながら一体感をつくり上げていく。他ではなかなか無い事ですよね。

ーー今日のリハーサルで初めて奏者が全員揃うと聞いております。距離に加えてコロナ禍という事もあり、思うように合わせなども行えなかったと思いますが、どのような心境ですか?

宮村さん:そうですね、期待半分、不安半分というところですね。委嘱作品の初演もありますし。新しい作品が世の中に出る瞬間というのはものすごく大事な瞬間で、お客様に魅力が伝わらないと、せっかく書いていただいたものにケチがついてしまう。一期一会という貴重な瞬間を皆さんと共有するというのにも気合が入るのもありますし。みなさん準備をしてきてくださっているとは思いますが、今のところはまだみなさんそれぞれダシが違うというか、昆布だしの人、鰹だしの人、トマトだしの人っていうね。いろんな人が混在しているので、これから今西先生が絶妙な状態に調合してくださるっていうところですから。

林さん:闇鍋状態ですね(笑)

東京佼成ウインドオーケストラ オーボエ奏者 宮村さん

宮村さん:そうそう。現状は闇鍋の材料を持ってきているだけ。それがこれからおいしい料理になっていくんだろうなって。それを今西さんがうまくまとめるための役割ですよね。

ーー指揮者の今西さんはいかがですか?

今西さん:そうですね。実は私は佼成で勉強させていただいていたんです。今こうして音楽活動をさせていただけるのも、その経験があったからこそだと。ですから個人的には、佼成さんにやっとご恩返しができる時がやってきたなと、思っております。あとは林さんと出会ったご縁もありますし、この日のために著名な先生方が曲を書いてくださっているのもありますし、闇鍋状態をうまく合わせて本当にいい料理にしたいなと思っております。

林さん:ハードルは高いですよね(笑)今回の初演曲、福田さんに依頼した際に、どなたが吹かれますか?と聞かれたので、「G音楽たいの10周年記念で書いていただく作品ですけど、一緒に佼成さんにご依頼させていただいて、合同で吹かさせていただきます」と言ったら、「じゃあ佼成さんだったら本気出していいですね」って(笑)

宮村さん:本当に容赦ないですよ(笑)(福田さんの曲)一番容赦ないですよ。

林さん:今回のテーマは‟コロナに打ち勝つ”と。‟芸術の火を絶やさないように”とお三方にお願いしたんです。それぞれ細かくイメージもお願いしていて。『高天原所伝』を書いてくださった星出さんには、宮崎の楽団なので、神楽や神話の国をイメージした曲でお願いしましたし、高橋さんには夏空みたいなスカッとした、コロナに打ち勝つぞ!という明るいメジャー調でとお願いをしました。それぞれ5分前後の予定でしたが、福田さんの作品は9分に伸びていました(笑)

3人の作曲家による委嘱作品

後編へ続く。