【ドイツ留学 Vol.1】東京藝大3年生の時にヨーロッパへ飛び込んだヴィオリストの生活は”のんびり”?

はじめまして!私はドイツのデトモルト音楽大学で4年間ヴィオラを勉強していた辻菜々子です。

初回は、音楽留学の最初の難関でもある先生探しと入試に関すること、そしてデトモルトでの留学生活の2つのテーマについて、ご紹介します!

ドイツで音楽留学をしたいと思ったら

  • 先生探しについて

ドイツの音大(国公立の音大は24校)は主にどの先生につきたいかで選びますが、1回のレッスンではっきりとこの先生につきたい!と決めるのはなかなか難しいことかもしれません。なのでマスタークラスなどに参加して何日か連続でレッスンを受けたり、聴講を通してその先生のレッスンスタイルを時間をかけて感じ取るのも、確実で良い方法だと思います。

他にも、すでに留学している知り合いにレッスンの様子やそのクラスの情報を聞くという手もあります。また、ドイツの音大のホームページには先生方のメールアドレスが載っています。YoutubeやCDなどで先生の演奏を聞くことができるので、気になる先生を見つけたらVorspiel(演奏を聴いてもらいアドバイスをもらうこと、お試しレッスン。無料なことが多い)をしてほしいと直接連絡をするのがドイツでは主な方法です。日本からドイツに行くことが難しいのならビデオを送るのも良いです。

  • 入試準備は?

願書の提出期限はデトモルト音大の場合秋入学なら3月中旬、春入学なら11月頭。(これは学校によって違うので要注意!!)私は日本から郵送だったので早めに準備し何回も確認して出したのを覚えています。まだ慣れないドイツ語に加え、卒業証明書(公式に翻訳されたもの)受験料の振込証明書(国際送金の証明書)語学証明書などの必要書類を揃えるには本当に時間も労力もかかります。さらにコロナ禍以降、1次試験をビデオで行い2次試験を現地で行う学校が増えました。

また、その当時デトモルトに知り合いもおらず、揃えた書類が合っているかどうかを相談できる人がいなかったので不安でした。入試準備は留学生ならだれもが経験する大きな壁です。自分でできることは精一杯やりつつ、わからないことがあれば現地にいる人や習っているドイツ語の先生などに頼るのも良いと思います!!

私はB1の語学証明書が願書を出すタイミングに間に合わず入試を受けられないかもと困っていたらドイツ語のできる友人が学校の教務に電話で聞いてくれて、入学するまでに提出すればいいということがわかったのでとてもほっとしました。

紅葉が美しい秋のデトモルト
   街の様子

デトモルトでの留学生活

  • デトモルトに留学することになったきっかけ

私とデトモルトの先生との出会いは日本で行われていたマスタークラスです。そこで10日間レッスンを受けたり、先生と受講生全員でアンサンブルをしました。その後「あなたのクラスに入って勉強したい」とつたない英語で話したら快くOKをもらえたので、半年後の6月の入試を受けることになりました。

ベルリンやミュンヘンにも興味はあったのですが、私は学部の受験だったこともあり(その後院で大都市に行けたらいいなと考えていた)、まずはデトモルトでドイツでの生活に慣れ、尊敬する先生のもとでじっくり基礎から勉強しようと思い、他の学校は受けませんでした。

  • デトモルトについて

デトモルトはドイツの北西に位置し、ケルンやデュッセルドルフと同じノルトライン=ヴェストファーレン州に属しています。都市というよりは、自然に囲まれた美しい村という印象で、学校、スーパーマーケット、銀行、広々とした公園や劇場まですべて徒歩で移動できます。なかでも音大には歴史があり、数々の著名な音楽家が輩出されています。

町の中心地には、かの有名なブラームスが3年間ピアニスト兼合唱指揮者として働いたお城があったり、カモがくつろぐ小川が流れていたりと癒されます。東京やベルリンなどの大都市と比べると娯楽は少ないのですが、勉強や練習に集中できるという意味では素晴らしい環境で、またドイツの自然や空気を常に肌で感じることができます。休みの日には、少し遠くまで散歩にいったり、外でアイスを食べたりしてのんびり過ごすのがデトモルト流です。

デトモルト城
クリスマスにむけて町中に飾られる星のオーナメント

しかしデトモルトにはICE(日本でいう新幹線)が通っていないため、交通の便が非常に悪く、オーディションや空港がある大都市に出るのは本当に一苦労です。もともとドイツの鉄道は遅延や突然の運休が当たり前で、何度もひやひやさせられました。余裕を持って着く電車に乗ったのに遅延して、出演するコンサートに遅れそうになったり、極寒の夜に外で1時間以上待たされたり、いきなりどこかわからない大自然の中で止まって今から電気とトイレが使えなくなりますとアナウンスが入ったり…この手の話にはキリがありません…

主に自炊ですが、たまにはこんなことも…

近くの綺麗な水辺でお昼からビール
友人とカフェで朝ごはん

留学準備から生活まで、いかがでしたでしょうか?少しでもドイツ留学を考えている方の参考になったら嬉しいです。質問等ありましたらお気軽にお問い合わせください!