【音大生の就活事情】新卒でファッション業界へ。ES・試験・面接~内定まで編

音大卒の就活事情Vol.1がまだの方はお先にコチラをどうぞ!

またお会いできて嬉しいです♪
Vol.2では「ESと企業説明会~内定まで」をお話いたします!

みなぎるわたし

ES作成‐求める人物像=音大生なのでは??‐

就活を決意してから業界を決めるところまではなかな苦労したのですが、受ける業界と企業を絞ってからはスムーズに進んでいきました。というのも、就活生に必要な“自己分析”というものは音楽を学ぶこと、そのものだったように思えます。自分自身の得意・不得意と常に向き合わなければならないからです。ですので、“自分の強み”や学生時代に力を入れたこと、いわゆる“ガクチカ”はなどはスラスラ出てきました。「音大で過ごした学生生活は、まるごと大きな財産になっている」と、エントリーシートを書きながら感じたことを覚えています。一流の先生方から音楽を学び、音楽を奏で、誰もが夢や目標に向かい努力している環境はとても刺激的で素晴らしいものでした。

“音楽を表現する”という事は技術的な事から、相手に何かを伝えるといった深い表現力まで求められます。その為には取り組む作品、作曲家、時代背景の緻密な研究と分析、楽器のスキル向上といったいわゆる主体性が、オーケストラやアンサンブルでは、音や合図で意思疎通を行い周りと音楽を合わせつくり上げる協調性など、様々な要素が必要とされます。これらのことは音大生にとっては当たり前のことですが、簡単にできる事ではありません。積み重ねてきた努力と経験からなる大きな強みと言えます。

日々のスケジュールも慌ただしく、座学やオーケストラなどの実技授業といった他に、空きコマで専攻のレッスンと副科のレッスン、様々な演奏会の合わせ練習や個人練の時間が盛り込まれてきます。これらを全て管理、こなしていき課題点と向き合いスキルを向上させるといったサイクルは、まさに社会人で求められるPDCAの要素です。ひと月にいくつもの作品に取り組み、本番をこなし、講評を受け、改善へ取り組む。このことも音大生にとっては当たり前の習慣です。


さらにはプロの音楽家の先生とのマンツーマンレッスンやコンクール、オーディションといった数々の舞台で鍛えられた“精神的な強さ”も音大生特有の強みになります。他にも書ききれないほど、音大では4年間で様々な経験とスキルを積むので自己PRやガクチカでの引き出しに困ることはありませんでした。

企業研究についても、普段から楽譜や楽曲の研究を日常的に行う習慣がついていたので物事を徹底的に調べる癖やどのように分析すればよいのかは自然と理解し、スムーズに行うことが出来ました。そうしてそれぞれの企業に沿っての項目を埋めていきESは完了。次に企業説明会を兼ねた1次試験へと進みます。

質疑応答で起きたまさかの出来事‐面接官から名指し質問?!‐

エントリーした3社の内のひとつ、特に印象的だった企業での説明会兼1次審査についてお話ししようと思います。ここで初めて他の学生と顔を合わせることになります。
広い会議室に30人程の学生が集められ、企業説明、質疑応答とグループディスカッションを行います。男女比率は大体5:5くらい。ファッション業界という事もあり、服装は指定なしの自由。リクルートスーツよりもそれぞれの個性を出したスーツスタイルやフォーマル寄りの私服が多く、一般的な就活のイメージとは異なりキラキラと眩しかったのがとても印象的でした。

企業説明が終わり学生側から企業への質疑応答に移り、周りの学生たちが積極的に手を挙げていきます。当てられた学生は氏名と学校名、学科を名乗り質疑するのですが、自ら挙手をし発言している学生たちは見事に全員高学歴。発言もはっきりとした口調で行われ、「さすが自信あるなあ、イケイケだなあ…」と他人事のように圧倒されていると、私の身に思いもよらない事が起こります。

いきなり試験官

今回○○さんは音楽大学から参加してくださっていますが、なぜ音楽大学からファッション業界を希望されるのか聞いてもいいですか?

凄く焦るわたし

?!?!
((いやいや、私だけ面接始まってるやないかーい))

と、試験官からの唐突な個人的興味の問いかけに内心震えながらも、冷静さを装い質問に答えました。ここで冷静さを保てたのも音楽で精神面をボコボコに鍛えられたおかげ、あの場で答えられた私自身にそっと拍手を送りました。専攻の先生のレッスンや舞台上でソロを吹くことの方が遥かに神経を削り緊張を上回るのです…。

なんだか音楽が苦行のように書いてしまいましたが、舞台上で奏でる音楽をお客様に聴いていただくその時間は、苦労やしんどさが全て吹き飛ぶほど美しく、感動する、何にも代えがたい瞬間であり音楽の魅力であります。

そんなこんなでグループワークも終了し1次試験を終えました。
その数日後、1次試験通過の知らせを受け、2次、3次と内定まで進むことになります。
この企業だけでなく、他の企業の面接でも必ずと言っていいほど「なぜ音大から?」「音大で学び、得たものは?」と試験官から尋ねられました。就活を決意した最初は“音楽を取ったら何も残らない”“就職には不利だ”と就活に対してかなり悲観していましたが、音大卒は印象に残り易く、興味を持ってもらえる最大の武器であると就活を行う中で感じました。実際に、”音大卒は武器になる”といったタイトルの本も出版されているくらいですしね。

最後に…
音大新卒で就職した私からワンポイントアドバイス!

ここまで読んでいただき本当にありがとうございます!音大で4年間学び、一般企業へ就職するという選択はとても勇気のいる事でした。「小さい頃からずっと音楽の道を応援し支えてくれた家族や、熱心に指導してくださった先生方をがっかりさせてしまうのではないか」「これまでの時間を全て無駄にしてしまうのだろうか」などと、本当にいろいろな事を考えました。プレッシャーは計り知れずあるとは思いますが、音楽を学んできたから、音大へ進んだからこそ、得ることが出来たスキルというものは本当に沢山ありますし社会経験を積むごとに見えてくるものがあります。実際に今現在の自分自身の魅力や強みも、音楽が授けてくれたものだと強く感じています。どんな道に進もうと、自分の選択や人生に自信をもって強く歩んでいってほしいと、心から願います。
最後まで読んでくれたあなたに幸あれ!