【霞町音楽堂から将来の音楽家が羽ばたく】音大生だからこそ、今できること。「おんなつで音楽の輪を広げたい」

コロナ禍で窮状に陥った音楽業界を少しでも盛り上げるため、クラシック音楽史上初24時間音楽配信を行った霞町音楽堂夏Fes. 略して「おんなつ」。今年のテーマは〜夢をあきらめない夏〜。閉塞感が続く中、学生自らが立ち上がり企画する音楽イベントを成功させるためにご支援をお願いします。

音大生を応援するクラッシックイベント開催♪|おんなつ2021 
https://camp-fire.jp/projects/view/444088

世界が未曾有の事態に直面してから約1年半。

学校に通うこと、新たな友人と出会えること、はたまた音楽を奏でることをこれほど制限されることになるとは、誰もが想像していなかったでしょう。

「人との関わりはすごい力になるということを知った」

そう語るのは現在音楽大学で学ぶ、3人の音楽家のたまごたち。

同郷の3人は高校で出会い、それぞれ別の大学へ進学。繋がりを再び結びつけたのはクラシックイベント『おんなつ2021』の学生実行委員会(通称:ピカルディ)でした。

今回は迫る本番当日に向けてラストスパートをかける、学生実行委員長の重田さん、青島さん、安久さんにお話を伺いました。


重田 真里亜/Maria Shigeta
ピカルディ委員長

10歳よりフルートを始める。浜松学芸高校芸術課程音楽科卒業。フルートを藤田千春に師事。
ジュニアクラシック音楽コンクール全国大会入選。
武蔵野音楽大学2年音楽学部フルート専攻在籍中。


青島 亮/Ryo Aoshima
クラウドファンディング担当

3歳からピアノを始める。
中学生から3年間バイオリンを富田直樹、ピアノを浜松学芸高校在籍時に山崎恵子に師事。
東京音楽大学2年ピアノコース在籍中。ピアノを佐藤俊、小川典子に、室内楽を占部由美子に師事。


安久 栞菜/Kanna Agu

2001年生まれ 4歳よりピアノを始める。
浜松学芸高等学校音楽科卒業。
桐朋学園大学2年ピアノ科在籍中。渥美なおみ、後上聡司各氏に師事。


ー今回からおんなつ2021学生実行委員会が発足されたとのことですが、経緯を教えてください。

重田さん

発足したのはプロデューサーの永井美奈子さんからのお声掛けがキッカケでした。永井さんより「今コロナ禍で音楽家を目指している音大生はどういう風に生活しているの?」とご心配いただき、それならば‟今年は全国の音大生に元気になってもらえるようなイベントを企画したい”という永井さんの想いでおんなつの学生実行委員会が生まれました。メンバーも最初は私1人の状態でしたが、出来るだけ色々な音大や色々な専攻のメンバーになるように、音楽高校の同級生や先輩後輩にもお声掛けして、みなさん心よく引き受けてくださって今に至ります。青島さんと安久さんも高校の同級生です。

ー重田さんからのお誘いを受けて「参加しよう」と決意した理由は?

安久さん

永井美奈子さんがお話してくださった「コロナ禍で音大生が勉強できない環境」というのが私の中でもモヤモヤしていたこと、そして、今は外出も難しい中での生活がつまらないな…と思っていた矢先に重田さんからご連絡をいただきました。音大で思うように勉強ができないこともあり、今回のチャンスを逃したくないと感じました。そして音大生を応援したいという永井さんの想いにも感動し、自分も参加したいと決意しました。

青島さん

僕は地元で室内楽の活動を精力的にしていましたが、コロナ禍でそれも全部なくなってしまい余計に1人になったと感じていたのですが、僕も重田さんからお誘いいただいたのと、せっかく東京に居るので貴重な機会だと思い、参加を決めました。

ー色々な大学から集まっている学生実行委員会ではどのようにコミュニケーションを取っているんですか? オンラインでのコミュニケーションは大変だなぁと感じたことってありませんか…?

重田さん

ミーティングは週1回火曜日の夜にClubhouseで公開で行っています。それでも足りない時はZoomかLINE。運営メンバーは8人いて、それぞれの役割は決まっていますが、みんなで補いあいながら進めています。
ただ、 オンラインで相手の表情が見えなかったり何かお話しようとしているかも分からないことが多くあります。急に「何かある?」と聞かれても焦ってしまって自分の意見を言葉にするのは難しいです。

ーClubhouse上でのミーティングってどんな風になるのか想像ができません…!

安久さん

話し合っていく中で「あ、これが必要だったね」っていうことがあった時に、そのやり取りを聴いてくださっているClubhouseのオーディエンスの方から助言をいただけるので、そこから課題を見つけてみんなで考えていく、という形を取っています。

重田さん

最初の頃は様々な職業の方々が40人ほど聴いてくださっていましたが、だんだんとオーディエンス(聴く専門)の方にもアドバイスをいただくようになって、そのアドバイスを元に学生で話し合いをしていく、という風になっています。どんどん関わってくださる方が増えている状態です。

ー巻き込む力がすごいですね。オーディエンスとして参加していただいている方からのアドバイスの中で、自分なりの気づきなどはありましたか?

重田さん

私が特に驚いたのは、IT分野に特化している方がいらっしゃったんですが、シンクルーム(ヤマハが提供している、リアルタイムでセッションできる無料アプリ)というツール教えてくださったり、知らないことを沢山教えていただけたのが勉強になりました。

安久さん

周りの方々やおんなつに関わってくださる方が音楽業界だけではないので、おんなつの広げ方やアプローチの仕方、進め方など様々な方の意見を聞く中で社会の仕組みも知ることが出来ました。

青島さん

僕は担当しているクラファンを進めていく中で、クラファンのページや内容、プレスリリースの見せ方など決めていたのですが、「すこし画面表示を変えるだけで見やすくなるよ」というアドバイスをいただいていました。クラウドファンディングの広め方も周りの方々の協力があったので、そういったところでのアプローチも勉強になったと感じています。

ー逆に今まで音楽を学んできて、今回の学生実行委員会の活動に生かせていることはありますか?

重田さん

自分が師事している先生との1対1のレッスンでコミュニケーションをはじめとした様々なことを教えていただく機会があるので、人との接し方がclubhouseでのミーティングでも役立っていると思っています。

安久さん

重田さんと同じく、音大生は幼少期から様々な世代の方々と接する機会が多いので、自然と礼儀作法が身についていることが生かせているように感じます。

青島さん

2人のお話に加えて、普段練習するにあたってどのように計画して練習すべきか、という考え方が、おんなつでの取り組みに繋がっています。これにより周囲の方との連携がうまく取れ、円滑に進んでいると感じています。

ー青島さんのお仕事はクラウドファンディングの担当ですが、今回のクラウドファンディングを行うまでの道のりを教えていただけますか?

青島さん

そうですね。周りの方々ともどのような方向性でいくか、ということも話す役割を担っています。
計画し始めたのは大体5月末辺りで、まずどのサイトでやるかを決めました。サイトによって、傾向が違ったりするので、下調べをします。サイトが決まったら内容を決めていくのですが、リターンをどうするかが重要になってきます。「リターンの価格と見込」を考え、ようやく7月にほぼ全て決まり、開始して現在に至るといった流れです。


ークラウドファンディングは周知や寄付を実際にいただくまでなかなか難しいと思うのですが、どのように決めたんですか?

青島さん

Campfire(キャンプファイヤー)を選び、過去にキャンプファイヤーで実際に成功された方をお呼びして、その方達のアドバイスも聞きながら進めていきました。

周知させるのはとても難しく、自分の知り合いどまりでそこがまだ課題となっています。 Clubhouse で少しずつ広められてはいますが、やはり難しいです。一進一退を繰り返しています。

ー Clubhouse 以外では何を活用されていますか

青島さん

基本的にSNSは全て使用しています。クラウドファンディングを広めるにあたり意識したことは、写真や文字の載せ方全てに工夫したことです。

なぜなら、例えばTwitter等でリンクを載せて拡散した場合、リンクを見てもらった方々にリターンを購入したいと思っていただくためです。そういったことが功を奏して、リンクを見てくださった方の中から購入してくださる方がちらほら出てきた状況です。まだまだこれからですね。

安久さん

ピカルディとしてのSNSは約2ヶ月前頃からです。仕事の分担は一応決まっています。TikTokやInstagram、Twitterなどを活用し、Instagramでは日々のリハーサルの様子を載せ、ハッシュタグなどで音楽好きな方に見てもらえるように、またクラウドファンディングに繋がるよう工夫しています。
心がけていることは、とにかくいろんな方の目に届くようにということ。そして投稿頻度が落ちてしまうと注目が下がってしまうので、なるべく更新をし、学生からの声を届けられるように、ということを意識しています。

ーおんなつさんとおとぺディアが出会ったのもInstagramがきっかけでした。ありがとうございます!今回のイベントで注目ポイントはどこですか?

青島さん

今の想いが詰まった演奏というのはもちろんですが、今回は学生だけでも20人の演奏者が参加してくれています。さまざまな編成のアンサンブルを詰め込んでいるので、観て楽しんでもらえたらと思います。

安久さん

私が実際に「(おんなつに)興味ある方いますか?」とInstagramで呼びかけた時に、色々な音大生の方が同じ思いを抱いていた、ということに驚きました。今回は参加してくれた方々の想いが込められたコンサートになっているので、それぞれの演奏に注目して欲しいです。音大生の活躍をみていただければと思います。

重田さん

注目は学生たちが企画し、その中でも色々な音大の方が参加してくれたというところです。コロナ禍なので会場に直接足を運んでいただくことは限られていますが、リモートでの合唱企画では北海道から沖縄まで音楽を学ぶ学生が参加してくれました。他にもアンサンブルやコラボレーションも実現しています。色々な場所や色々な音大、色々な学年が集まっているところに注目していただきたいです。

ーみなさんも音楽や演奏会に対して考え方が変わったと思うのですがいかがですか?

安久さん

重田さんがclubhouseで配信していることにすごく考えさせられました。コロナ禍で人前で演奏できないことをただ嘆くのではなく、プラスに変えて行動している音楽家の方が重田さんを含めたくさんいらっしゃるんだ、とそこで気づきました。自分も1人で悩んでいた時期はありましたが、悩んでいることも考えていかなければ音楽というのは発信もできず、自分自身の成長にも繋がらない。自分がどうやってやっていくのかを考えることが大事だと感じさせられました。

重田さん

私自身は大学に入学した年から情勢が不安定だったので、その前の生活を知らずに上京したんです。上京する前としては「終息するだろう」という考えだったので、防音室が無い物件に住んでいます。しかし事態が悪化したことで学校の防音室が使えなくなり、カラオケや音を出さずに指だけの練習だけしている状態だったためにマイナス思考に陥っていきました。

「私みたいに学校や仕事がリモートになったという人がたくさんいらっしゃるんじゃないか。」と思い、Clubhouseで自分が練習している音を配信している時に、たまたまそれを永井さんが聴いてくださったんです。そこからおんなつにお誘いいただいたっていうのがあります。練習ができない中でもオンラインのツールを舞台に、あえて練習の様子を配信する、という挑戦をしたことで、マイナスをプラスに変えることができました。

青島さん

人との関わり合いが少なくなってしまいましたが、今回おんなつで色々な方と関わらせてもらうことで「人との関わりはすごい力になるということを知りました。アンサンブルを組むことや企画を進めていくこと、音楽という面だけではなく日常生活でも全て人と助けあって生きているんだと改めて思いました。


ー今後事態が終息したあと、このプロジェクトを通して将来描いていることはありますか?

重田さん

私は留学をしたいと思っています。土地が離れてしまっても、どんな場所に行っても、コロナ禍で成長したオンラインやSNSの活用はまだ続くと考えています。おんなつでできた意見を交換できるグループ、チームがあることは心強く、また演奏会をしたい、と考えた時に声をかけやすくなると思うので、グループとしても規模としても大きくなって音大生のコミュニティを広げていきたいです。その中で場所に囚われず、音楽活動ができるような入り口になれば、と考えています。

安久さん

今コロナ禍ということで音大生を取り上げてくださっていますが、以前から音大生は注目されず、卒業後もなかなか就職先が見つからず困っている方がいる、という状況です。今回おんなつのLINEオープンチャットができ、そこに色々な音大生がチャットに参加することで音大生の輪が生まれていると感じています。これを機に、音大生のネットワークとして使っていただき、仮に「おんなつ」という名前が変わっても音大生が活躍できる場所として残していきたいです。

青島さん

将来的には全世界の音大生が集まれるネットワークにしたいと思っています。僕の先生に現在海外の音大で教えていらっしゃる方がいて、その先生からお話を聞いても「日本は大体対面でレッスンできるけど、やっぱりまだオンラインレッスンや試験など制限がかかっていることがある。」と。もしコロナが終息して全てが対面で可能になった時に、日本以外の土地で集まったりネットワークを広げていけたらと思います。


音楽祭の会場チケットはですが、オンラインでは視聴可能となっております。
以下URLよりご確認ください!

オンラインチケット購入先↓
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2176862

クラウドファンディングも残り2日となっています!以下URLより応援のほど、お願いいたします!

クラウドファンディング
https://camp-fire.jp/projects/view/444088